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Customer Equity=顧客資産価値:顧客生涯価値(一人の顧客が生涯で購入するその企業の製品やサービスの合計金額)の全顧客の合計である。
CRM(顧客・リレーションシップ・マネジメント)の考え方では、購買が始点となり、
顧客を1回限りの顧客単価とは考えないで生涯価値で顧客をみる。アメリカにおいて多くの企業の経営分析から次のような結果が得られ、顧客資産価値が重要視されるようになった。
・新規顧客開発コストを100とすると、既存顧客維持コストは17〜20で済む。
・上位20%の顧客が、売上全体の60〜80%を占める。
・下位30%では、売上に貢献する度合は4%未満程度である。
・ロイヤリティの高い上位5%の顧客は、関連商品購買が多い。
・離反率を下げる(=継続購買してくれる率を上げる)ことの影響は大きい。
たとえば、 離反率が30%から20%に下がれば、現在から将来の会社の見込み売上総額は1.5倍になる。離反率10%の増減は、売上の50%増減させる。
顧客資産価値は次のような理論式で表される。
顧客資産価値=全体需要×顧客数シェア×顧客内シェア×{1÷(1−継続購買率)}
※顧客数シェア:該当市場の全顧客に占める自社商品を購買してくれている顧客の割合
※顧客内シェア:一人の顧客において、当該商品群の全ての購入に占める自社商品の割合
※1−継続購買率:顧客離反率=自社商品を購入してくれていた顧客が自社商品を購入しなくなった割合
継続購買率は、この考え方だけではではない。数ヶ月あるいは数年に一度しか自社商品を購入しない製品を想定しよう。たとえば「自動車の車両本体」「事務機のコピー機本体」これだけを販売している場合、「本格的な家具」だけを販売している場合、「住宅」だけを販売している場合など。
自動車の車両本体だけの販売では、そのディーラーは継続購買率は限りなく低くなってしまう。法定点検は別にしてもオイル交換は3000q〜5000qに一回は交換する、タイヤやバッテリーは数万qに1回は交換する、ATFの交換は5万qに1回以上は交換した方が良い、ショックアブソーバーや足回りのゴムブッシュは5万q〜10万qに一回は交換する方が良い、車検は当然ですよね・・・・車をこよなく愛する人はもっとカストマイズに頻度高く手をかける・・・・ディーラーは整備ピットの顧客利用を促進することで継続購買率を高めることが出来る。たとえば日本の自動車のトップメーカーはこんな事も事業展開の要素に組み入れている。事務機メーカーも有償メンテナンスや消耗品の供給で同じような視点から事業展開している。住宅産業もしかりか?
顧客内シェアーも、たとえ商品を供給するメーカーであってもその品揃えを顧客の未充足の商品ニーズを満たしていく商品・有償サービスを拡大していくことで成長していくことを可能にする。大切なのは、ロイヤリティーの高い顧客の未充足ニーズを満たしていく商品・有償サービスを提供し続けていくことである。小売業にあっても、大切なのは商圏のロイヤリティーの高い顧客が購買する商品やサービスをいかに頻度高く品揃えした商品をより多くの商品アイテムを他店に流れず自店で購入してくれる店舗づくりやMD開発をし続けていくことである。商品を供給するメーカーは販売の接点である継続購買率の高い流通チャネルとパートナーシップを組むことができるかも非常に重要である。自社商品の取扱店の数の多さ以前に、狙う顧客が選択的に利用する流通チャネルを選択的に起用することが重要となる。
顧客数シェアを競う事業戦略がこれまで多かったことは否めないだろう。規模の経済性の追求が大きなウェートを占めてきたことも事実だろう。大企業の社員の収入が多かったことも確かである、ましてやそんな企業の管理職や経営幹部は。しかし、大企業の収益は全て高いか?、製造業においても流通業においてもそうとはいえない現実がある。
市場や顧客をセグメントしてロイヤリティーの高い顧客を安定して増やしていく経営・・・・顧客の4つのCと供給者の4つのPとを最適化していく経営・・・・が重要であり、中堅中 小企業の可能性も広がっていく。
これまで、顧客数シェア拡大による市場シェア拡大が企業成長を保証してきた時代であったと言える。
その時代は終焉している、新しい経営の考え方・視点で企業成長を目指せる時代になったとも言える。
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