プラグマティズムといえば、一般的に「実用主義」と訳されるように、苦痛を避け快楽を追求するという功利主義的な発想に近い解釈がなされることも少なくありませんでした。
経営学のカーネギー学派のハーバート・サイモン、最後の愛弟子のサラス・サラスバシー、ADHDの私がマーケティング・事業開発の仕事をつうじてプラグマティズムを学び影響を強く受けました。
プラグマティズムの真の狙いは、不確定性の高い将来に向けた人間の信念形成にある。社会心理学の側面で、社会集団のなかで他者との関係において将来に向けた行動のメカニズムを明らかにしようとしており、多元的な価値を認めつつ、利害の一致を目指す現代的な経営理論の再構築にあたり必要な視座を提供している。プラグマティズムには他者との相互理解によって、社会的集団の建設的な価値形成に向けた発想が大切にされている。プラグマティズムからの流れを多分に受けた経営学の議論では、対立する当事者間のコンフリクトをより柔軟な解決を目指そうとする複合的なロジックが提示されている。
マーケティング仮説をたてるサーチを大切にし、仮説に基づくリサーチ計画書を作成し、リサーチ結果の数値分析からの帰納法による結論を導き出し戦略戦術提案をするだけでなく、質的リサーチ情報の演繹法による結論を導き出し、戦略戦術提案をプレゼンし実行からフィードバックされる結果からブラッシュアップを行う。当時まだ私はADHDであることを知りませんでしたが、日本マーケティング研究所(日マケ)の竹山元一氏から指導を受け今のベースができました。日マケにいた1980年代当時その理論的裏付けとなりそうなカーネギー学派の企業行動理論(BTF)に触れ私のバックボーンとなったのだと思います。
過労とストレスから失明しそうな病気にかかり日マケを退職し、中小企業向けの教育研修型のコンサルを経て独立しました。そして1度目の初期ガンにもなりました。
中小企業向けの教育研修型のコンサルはADHDの私には向いていませんでした。個別企業の事業開発型のコンサルが私には向いていました。
独立し学会などに所属させてもらいながら10数社のクラインのお仕事をしていましたが、2008年ごろサラス・サラスバシーのエフェクチュエーションに出会い非常に参考になり影響を受けました。このころ私がADHDであることを自覚しました。クライアント先で実践応用させてもらえる機会にも恵まれ今日に至っています。
2020年2月に大量下血し救急搬送され、念のため内視鏡検査を受けたところ上方結腸ガンが見つかりました。大量下血は憩室出血だろうと思っていましたが、大腸がんではないことを確定するには内視鏡検査すべきだとカーテンで仕切られただけの処置空間で妻と長男と私で家族会議をしていました。ステージ1bの初期ガンで大腸切除だけで抗がん剤治療もなく経過観察中の身です。
サラス・サラスバシーの「エフェクチュエーション」(実効論)では、
●自分が誰であるのか?(who they are?)特質、能力、属性
●何を知っているのか?(who they know?)教育、専門性、経験
●誰を知っているのか?(whom they know?)」社会的ネットワーク
これらを資源に、外部環境を新しい未来へと作り変えるための有用なデザイン論理としての行動のための基準5つの原則を提供しています。
私は「Pragmaticに活私利他」というふうに自分なりに信条表現しています。田舎の長男ですが、自分が入る墓が欲しいという弟に墓も仏壇も譲り離檀しようとしています。家族や親戚や仕事関係者の方々・地域の方々等々に、こんな生き方を許容してもらえていることが「ありがたい!」
MCプロジェクト 代表 坊池敏哉