行政用語の「生活者」をマーケターは不用意に使うべきではない!

Bookmark this on Google Bookmarks

「生活者」とはだれか、経済審議会の答申「生活大国5か年計画」(1992)の答申の外務省訳によると、「生活者・消費者」も「生活者」も一律に「consumer」と訳されていました。生活者は「この国に生活している人々」=国民=をさしていました。

経済学の領域では大熊信行氏が1940年から使っていました。生活の基本が自己生産であることを自覚し、時間と金銭における必要と自由を設定し、つねに識別し、あくまで必要を守りながら、大衆消費社会の営利主義的戦略の対象としての、消費者であることをみずから最低限にとどめようとする人びとを、「生活者」としていました。

 

マーケティングにおける生活者の誤用に注意しましょう。

1990年前後、マーケティング業界で「生活者」という言葉が使われることが増えました。マーケティング業界では1980年代から「生活者」が使われ始め、同時に「モノ」から「コト」マーケティングへということが提唱されはじめています。消費者(Consumer)の生活研究をベースにしたマーケティングを展開し始めていました。

マス・マーケティングの時代には消費者集団を、性・年齢・収入・ライフステージといった人口統計学指標(デモグラフィック属性)でとらえていました。消費や購買が成熟した1980年代ごろから消費者集団を、意識・価値観・ライフスタイルなどでとらえはじめ、ターゲット消費者の細分化(セグメンテーション)をするようになりました。1980年代は「消費者」は商品まわりの関係でしかないととらえ、「消費者」と「生活者」は違うものとしてとらえていました。しかし1990年代半ばごろには、マーケティングの一部の分野では「生活者」と「消費者」は同義語として使われていました。

天野正子著『「生活者」とはだれか』中公新書 1996年の内容や、有斐閣『社会学小事典』の「生活者」とは「個人として自立し、会社人間から解放され、性役割固定観念にとらわれず、地球環境問題やリサイクルにも取り組み、地域活動・ヴォランティア活動にも熱心な存在のひとびと」とされています。

生活者という概念はマーケティングで使うには対象が狭く、政治または行政的な方向を指向している点でもマーケティング向きではありません。とても「消費者」の代わりに使う用語ではありません。見識あるマーケターは、「消費者」と「生活者」は違うことを理解しているはずです。

一般「市民」と「生活者」も違うことは、天野正子著『「生活者」とはだれか』中公新書 1996年の内容や有斐閣『社会学小事典』の「生活者」の説明を見れば明らかです。

行政の関係の人と仕事をする機会もあるマーケターもいるかと思います。社会学の分野の方や行政や政治関係の方の「生活者」は「個人として自立し、会社人間から解放され、性役割固定観念にとらわれず、地球環境問題やリサイクルにも取り組み、地域活動・ヴォランティア活動にも熱心な存在のひとびと」です。

行政等の企画書や計画書にある「生活者」という言葉を、行政機関の現場担当者が見識不足から解釈を誤っていることも散見されます。きちんと間違った解釈を訂正してあげましょう。

カテゴリー: 政治・行政 タグ: パーマリンク

コメントを残す