新型コロナウイルス感染症COVID-19対策のPragmatic Management

Bookmark this on Google Bookmarks

マーケティングや企業経営では、Pragmaticism(実利主義・実際主義・実用主義などと訳される)に馴染みのある方もおられるでしょう。
大組織の経営行動と意思決定に関する生涯にわたる研究で1978年にノーベル経済学賞を受賞したHerbert Alexander Simon教授や、
その晩年のお弟子さんの Saras D. Sarasvathy教授著のEffectuation: Elements of Entrepreneurial Expertise (New Horizons in Entrepreneurship)エフェクチュエーションなどでPragmaticismに接している方もおられるでしょう。
Pragmatism(プラグマティズム)は、「事象」の意のギリシア語pragmaから一九世紀後半以降アメリカを中心として起こった反形而上学的な哲学思想で、あらゆる真理は実用的結果をもつものであり、その真理性は結果の実用性によって決定されるという考えです。宗教についても心理学的基準を満足させ、適切な価値を創造するもの、と考えるようです。

私は、新型コロナウイルス感染症COVID-19変異株による第4波の渦中の兵庫県神戸市のはずれに住んでるマーケターです。
この前、新型コロナウイルス感染症COVID-19対策について、Administration(政権・本部・経営陣がその組織の方針を設定し導く)レベル、Management(実行可能な具体的な施策を練って実行する)レベル、Control(規制・統制・支配等の意味、支配下に置いて管理する・制御する)レベルという観点で、「まん延防止等重点措置」や「緊急事態宣言」は、Control(規制・統制・支配等の意味、支配下に置いて管理する・制御する)レベルでしかないと、備忘録を書きました。
Administration(政権・本部・経営陣がその組織の方針を設定し導く)は、Management(実行可能な具体的な施策を練って実行する)がなければ機能しない。とも書きました。
なぜこのようなことを記したかを以下にまた備忘録として記しておきます。

Saras D. Sarasvathy教授著のEffectuation: Elements of Entrepreneurial Expertiseでは次のような記述があります。
一般的には、あらゆる問題・事実・行為の指針に関するPragmatist(プラグマティスト)のアプローチは、本質主義的・理想主義的ではなく、「実質的」で「用具的」なものである。Pragmatistは物事が「本質的に(really)どうであるか」よりも、それが「どのように機能するか」に興味を持つ。それゆえにPragmatistは画一的な真実を発見・所有しようとはしない。”神””重力””市場”といった重要な概念が何であれ、そうした究極の聖杯(the holly grail:キリスト教の聖遺物の一つ最後の晩餐に使われたとされる杯)あるいは聖杯とされるもの(a holly grail:キリスト教で盃の他に皿や食事のコースの一区切りやキリストの血脈などの説がある)でさえ、追い求めたりはしない。その代わりにPragmatistは、自ら聖杯を創り出し、パッチワークのようにつぎはぎし、それらを壺や別の何か有用な人工物に作り替えようとする。
<中略>Effectual Pragmatist(エフェクチュアルなプラグマティスト)は、注意深く現実世界を観察して行為の指針を理解する。それは局所的で、偶発的なものであったとしても「実行可能」で「実行する価値のあるもの」だ。次にエフェクチュアルな行為者は、他者との相互作用をを通じて、解決策のDesign(デザイン:日本語のデザインの狭義な概念ではなく、語源のラテン語「Designare」:計画を記号に表すという概念)を洗練させると同時に、人々の選好や環境の切迫した事情が要請するものも変容させ、それを実行可能で価値のある新しい「人工物(The artifactual)」へと変換しようとする。彼らの行為は、現実世界Aを様々な新しい可能性b,sに変容させる。そしてその幾つかは、エフェクチュエーションに基づくプロセスを実行する以前には、夢にも思わなかったモノとなる。

Effectuationは理論ではなく「論理」という部分を強調しています。
早大ビジネススクールの入山章栄教授の「世界標準の経営理論」という本を読んでみてください。世界の経営理論が分かり安く網羅され体系的に整理されています。
Saras D. Sarasvathy教授の師匠Herbert Alexander Simon教授の「カーネギー学派の企業行動理論(BTF)」も、第2部マクロ心理学ディシプリンの経営理論に収められています。この他第2部には「知の探索・知の進化の理論」「組織の記憶の理論」「組織の知識創造理論(SECIモデル)」「認知心理学ベースの進化理論」「ダイナミック・ケイパビリティ―理論」が収められています。
第4部社会学ディシプリンの経営理論も含め理解しておくと、Effectuationの理解が深まり予測不可能な中での意思決定と実践行動の助けになると思います。
Effectuationは予測不可能な環境で複数回起業し成功しているアントレプレナーを研究対象にし、「人工物の科学(siences of the artificial)」「プラグマティズム(pragmatism)」を基礎として分析して起業家的熟達の5つの原則(手中の取りの原則・許容可能な損失の原則・レモネードの原則・飛行中のパイロットの原則)を導き出した。
詳しくは書籍を読んで見てください。

早大ビジネススクールの入山章栄教授の「世界標準の経営理論」の「カーネギー学派の企業行動理論(BTF)」から抜粋です。
経営の中で、認知心理学に基づくカーネギー学派を特徴づけるのは「限定された合理性:人は合理的に意思決定をするが、しかしその認知力・情報処理力には限界がる」というものです。「限られた選択肢」→「現時点でのとりあえず満足できる選択」→「実際の行動」→「行動することで認知が広がり、新しい選択肢が見える」→「より満足な選択」というプロセスの意思決定を想定しています。
組織は認知力に限界があるので、サーチは自身が直面している「認知の周辺」(ローカル・サーチ)で行われがちになる。この傾向を乗り越え「より遠くの選択肢」をサーチして行くことが新しい知の創出すなわちイノベーションに繋がる可能性がある。
アスピレーション(aspiration)はもう一つのカーネギー学派の重要な概念。アスピレーションとは「自社の将来の目標水準」「自社を評価する基準や目線の高さ」と言ってもいい。

新型コロナウイルス感染症COVID-19については当初より今は少しは分かってきていますが、分からないことが多いのが現実です。しかし研究者の専門家が未来は予測可能であり、目的から逆残して計画するというSaras D. Sarasvathy教授のいう「Causation:コーゼーション」のアプローチをとっています。コーゼーションのメリットは「意思決定がぶれない」ということです。最初設定した目的や目標を変更しづらくなってしまいます。
COVID-19はアジア圏で感染する人が爆発的に拡大しなかった、おそらく交差免疫のおかげでしょう。日本では、目的が「現在の医療システムで医療崩壊させない」ことでしょう。第3波までは非常事態宣言で医療崩壊をさせずに(局所的には崩壊していたかもしれませんが)乗り切れてしまった。
「現在の医療システムで医療崩壊させない」というアスピレーション(目線の高さ)と現実のギャップが少なく、専門家の「ローカル・サーチ傾向」に加え、COVID-19の波を非常事態宣言で乗り越えたことで、COVID-19がさらに感染力を増した変異を起こしたときにどう対処して行けるか医療周辺だけでなく「より遠くの選択肢のサーチ」を減退させてしまった。
ダイナミック・ケイパビリティとは、ダイナミック:動的に、様々なリソースを組み合わせ直す能力のことを指します。ダイナミック・ケイパビリティを育てるのは個人か・組織かという議論もありますが、正解か不正解の知識教育やControl(規制・統制・支配等の意味、支配下に置いて管理する・制御する)レベルの教育・就業経験が中心の日本では不得手なところでしょう。
私は幾つかの学会や協会に所属していますが、専門家(研究者)ではありません。早大ビジネススクールの入山章栄教授の「世界標準の経営理論」の前書きに日本の経営学会での特殊な立ち位置を書かれています、「学者として成功するには一つのディシプリンに特化する方がはるかに効果的だ。経営学者としては稀有なパターンで最悪のパターンだからこそ、初めて「3つのディシプリンにまたがって体系的に経営理論を紹介できる。」と。
私も所属する学会や協会で接する専門家の印象はそのように感じています。専門家会議や日本学術会議のダイナミック・ケイパビリティはどうだろう? 日本学術会議は今のままでよいとの結論を出しています。

Saras D. Sarasvathy教授著のEffectuation: Elements of Entrepreneurial Expertiseでは、「エフェクチュアルな経済学は、「客観的(objective)ではなく間主観的(inter-subjective)の立場をとり、正確な予測をしようとせず、デザイン過程の各段階ににおいて、ステークホルダーの価値判断を制約条件として世界をデザインしようとする。」とあります。
人流【ニアリーイコール人間の社会活動】を80%減らせば日本ではCOVID-19COVID-19の拡大は防げるという予測とそれなりの検証があるでしょう。as if(であるかのように)感染力が1.7倍のCOVID-19の変異株が増える現在は90~95%人流を減らせということなのか。統計学でいうPCR分析は、人流をほぼ同レベルの要素で全て洗い出し、主成分分析し相関のない説明変数を求め、その主成分で重回帰分析をし、人流の各要素のインパクト係数を求め、どの人流の要素がどのくらいCOVID-19の感染拡大させているのかを導き出せる分析手法です。
統計手法のPCR分析(主成分回帰分析)は、海外の先進国では経営分野でも実施されています(日本では実際に行ったケースはほとんどないでしょう)。そんな分析予測はCOVID-19では行えるはずはありません、客観的なデータ分析によってCOVID-19の対策を進化させていくような意思決定はできないと思います。私はPCR分析を実際にやってみましたが効率化や改善にはつながりますが、市場変化への対応・新市場の創造にはなかなかつなげにくいと感じました。2010年頃でしたかEffectuationに出会いました。

客観的なデータ分析によってCOVID-19の対策の意思決定はできない、even if(であったとしても)COVID-19の変異株に対して「3蜜回避・社会的距離の確保・換気・手洗い消毒・マスク・4人以内の会食での社会生活で、感染し重篤化し死亡する人を最大限少なくする」をアスピレーションにし、エフェクチュアルな対策をデザインすることがエフェクチュアルな専門家や優秀なステークホルダーが集まればできると思っています。たとえばですが、どんなことなのか素人レベルのSself-Managementからのデザインがベースの稚拙な内容ですが書いてみます。

気管挿入し人工呼吸器やECMOが必要になる重篤な患者を増やさないようにするには、
●医療関係者と生活を共にする人(同居家族と表現していいか迷う)全員にワクチン接種を希望者全員に速やかに行う。
感染者の治療を行う医療関係者だけではなく全ての医療関係者。さらに生活を共にする人も含めるのは医療関係者が家庭内感染を心配しなくていいようにするため。
65歳以上の高齢者への予防接種はその後とし中断する。重篤化し死に至る人を最大限少なくするために中等症段階での治療にあたる医療関係者を大幅に増やすため。
●PCR検査は、感染者の濃厚接触者の基準ではなく変異株に対応したレベルの接触者全員に行う。
PCR検査とSpO2を測り陽性で無症状者はホテルで収容。PCR検査陽性で発熱等の症状がある場合PCR検査の場所でレントゲン撮影を行い、レントゲンで肺炎所見のない人はホテルへ収容、レントゲンで肺炎の初期症状が疑われるときは専用施設の病院に収容。(妻は夕方発熱し朝は下がり、PCR検査の時にはSpO2は98%だったがPCR検査は陰性・レントゲンには肺炎の初期症状がみられた)、
●無症状者や発熱があってもレントゲンで肺炎所見のない人を収容するホテルは、医師によるNet診療ができるようにし、駐在する看護師が酸素吸入(酸素マスク)による O2投与・ステロイド薬デキサメサゾン 6mgの投与ができるようにしておく。点滴や介助が必要になった人は専用施設の病院に移送する。
●発熱がありレントンゲンで肺炎所見のある人の専用施設の病院(慢性期病床レベルでも対応できるだろう)で酸素吸入(酸素マスク)による O2投与で SpO2≧ 93% を維持し、ステロイド薬デキサメサゾン 6mgの静脈注射・点滴処置・介助ができるようにする。
この専用施設がいっぱいになってもホテル等で収容し、医師がNet診療し、ホテルに駐在する看護師を増やし酸素吸入・デキサメサゾン 6mgの静脈注射をし、病院ベッドを備え点滴処置・介助ができるようにする。・・・・このあたりの治療体制を充実させ重篤になる人を極力少なくする。医療関係者と生活を共にする人全員にワクチン接種を希望者全員に速やかに行い協力してもらえる医療人員を増やせるようにしておくことが欠かせない。
●酸素吸入(酸素マスク)による O2投与で SpO2≧ 93% を維持できない、気管挿入し人工呼吸器が必要な患者を重症病床に収容する。
なかなかここは簡単に病床を増やせないかもしれない。しかし、自衛隊の野戦病院のようなものが活用できるかどうかも検討する必要があるでしょう。
●最悪の場合トリアージは、気管挿入し人工呼吸器が必要な患者を重症病床にがいっぱいになった時に必要になるでしょう。自衛隊の医官は全国各地の自衛隊病院や部隊で勤務する医官と看護官が各約1000人、それぞれ100人程度でトリアージチームを編成し対応する。医療的判断だけではない非常事態のトリアージの現場を想定すると、心身ともにタフネスにControl(規制・統制・支配等の意味、支配下に置いて管理する・制御する)に耐えうるには、自衛隊病院や部隊で勤務する医官と看護官が想定されていいように思えます。
●陽性者をホテル・中等病床専用施設・重症病床等に収容するのは、収容者の移送や無症状者や軽症者や中等症の方の食事・酸素吸入・医薬品・医療用具等のロジスティクスをControl(規制・統制・支配等の意味、支配下に置いて管理する・制御する)ためです。民間輸送業者ではなく社会生活を阻害しないよう自衛隊に担ってもらう。
などなど、ここまでは素人の個人の妄想レベルでデザインとは言えませんが。

Sself-Managementでは、昨年パルスオキシメーターは自分で中等症レベルであることを伝えられるよう一人一台持つようにしていました。
酸素吸入器は、アマゾンで売っており昨年購入使用か迷いましたが購入していません。ホテルに隔離されても何とか知り合いの医師から借りようと妻と話し合った結果です。4~5万円も出せばアマゾンで買えますが、普段使うようなことはないと思いますし、酸素吸入器を持ち込むような隔離者は不審者扱いされそうですからね。
知り合いの医師はNet診療していませんが、最近はNet診療しているところもネット検索で見つけられそうで、仕事の携帯用にしているタブレットPCとWifiは忘れずにもって行こうとしています。ホテルならWifiは心配ないと思いますが。
昨年2月上方結腸癌の手術した時は病院にWifi環境がなくレンタルしてタブレットPCを持って行きました、術後2日目から結構仕事もできましたしNetミーティングもできました。
デキサメサゾン 6mgの経口投与剤が処方してもらえ隔離先に届けてもらえる仕組みがああればいいのだがと考えました。
私は抗がん剤は飲んでいませんがまだ経過観察中です、高血圧・糖尿病の治療はかかりつけ医にかかっています。ホテルに変異株にかかり3週間隔離されて、高血圧・糖尿秒の薬は4週分しかもらっていません。そういう人にも持病の薬は処方して届けてもらえると思いますから、酸素吸入もデキサメサゾン 6mgの経口投与剤もNet診療医師の処方があれば何とかなるだろう。私はたぶん陽性で隔離されたら、ホテルの部屋からこんな行動をとるでしょう。でも気管挿入し人工呼吸器やECMOは私は望みません。私が亡くなったら「この人は幸せな人生を送りました」と妻は言ってくれるでしょう、いろんな意味で。妻が感染したら同じようなやり方で私がサポートするでしょう。妻も気管挿入し人工呼吸器やECMOは望んでいません。たぶん今のままでは希望していなくても重症患者病床が空いていれば気管挿入し人工呼吸器やECMOで治療されるのが今の仕組みなのでしょう、しかし、重症患者病床が空いていることは奇跡のようなことで、私たちの希望はかなえられる可能性は高いでしょう。

株式会社MCプロジェクト 代表取締役 坊池敏哉

 

カテゴリー: Covid-19, EFFECTUATION, New Theory パーマリンク

コメントを残す